基幹システムとkintoneをDataSpiderで統合。
情報管理課の2人が中心となって業務改善に取り組む。
2020年に100年企業の仲間入りを果たし、新社長の下で次の100年に向けての挑戦をスタートさせた鈴豊精鋼株式会社。IT・デジタルに理解のある経営層によって経営方針にも情報共有の重要さが盛り込まれる中での情報管理課の取り組みを聞きました。
業種:製造業
エリア:愛知県
従業員数:192名(2022年4月現在)
会社概要:1920年(大正9年)、中部地区で最初の冷間引抜工場として創業して以来、自動車産業を支え続ける100年企業。これまで培ってきた「鋼の技術」に新たな創造を積み重ね、世界標準に適応したクオリティの高い製品を提供し続けている。
できる方法で、できる部門から、情報共有への理解を広めていく。
基幹システムの情報を利用した製造業ならではのkintone活用。
― kintoneを選択された理由はありますか?
業務改善には情報共有が前提になりますが、さまざまな検討をする中でkintoneの特徴は理解していたのでツールの選定に迷いはありませんでした。基幹システムにあるマスターデータをDataSpiderでkintoneに吸い上げて、業務に活用しやすい情報にしているというのが大きな流れです。
― 製造業としてkintoneはどのように活用されているのでしょうか。
基幹システムに登録してある製品や取引先に関する情報を活用しています、例えば、製造部門の社員が製造日報をつくる際、kintoneで設備と期間を入力すると基幹システムにある情報からその間に完成した実績を呼び出して選択できるようにすることで、入力の手間を省いたり入力ミスをなくしたりしています。
さらに、日報のデータを集計した情報をリアルタイムにkintoneのトップページに表示させています。グラフ化された情報は視覚的に分かりやすく工場のパフォーマンス分析にも役立ちます。もちろん会議資料としても活用できます。
得意な人や積極的な部門から、少しずつkintoneの輪を拡げていく。
― 順調に見えるkintone活用ですが、導入時や定着までに苦労はなかったのでしょうか。
もちろん大変なことはあります。そもそものきっかけが、情報管理課の人員が3人から2名に減ったという人手不足からはじまっていますから。
業務改善にシステムを活用するとしても私たちが全てを手がけることは難しい状況にあるので、情報管理のプラットフォームをkintoneに置き換えて、私たちは見本を示したりアドバイスをするなどして各々で進めてもらう方向性で取り組んでいます。
― 現状のkintone活用の度合いはどのようにお考えでしょうか。
現状、社内13部門のうち8部門でkintoneを利用していて、そのうちの4部門がパワーユーザーです。各課でアプリを作成していて、全体で120程のアプリがつくられています。得意な人がいる課といない課がありますが、必要に応じて相談を受けながら進めています。リソースが限られている中で要望に応えられないケースもあるのですが、「できない」とシャットアウトするのではなく実現可能なラインを示すなどして理解を得ながら対応しています。
社内システムの一例
基幹システム(AS/400)を含むデータ関連とkintoneの連携
システムの概要
DataSpider を使った、kintone のデータ連携処理。
・各種マスターデータ同期
・生産実績データ抽出
・お弁当注文データ抽出
・購買関連マスタデータ同期
データ連携の全体図
全社体制の「情報共有」を実現するために。
めざす姿を実現するために必要な人材育成。
― kintone活用における課題はどうお考えでしょうか。
各課でアプリを作っている今は、部門ごとに最適化されている状態です。取り組みは課長クラスの指向や裁量次第という面もあるので、これから全社体制で情報を共有し業務に活かしていくためには、ある程度統一されたガイドラインの必要性を感じています。
― kintoneを活用した業務改善における今後の目標についてはいかがでしょうか。
ここまではkintoneならではのスピード感で進められてきたと考えていますが、まだまだ未導入の部門があるのも事実です。ただ、情報共有の重要性が経営方針にも掲げられ、道筋は見えてきているので、今後はキーとなる部署を巻き込みながら、当初からの目標である全社的な情報共有の流れをつくりたいです。そのための人材育成にも取り組みはじめているので、理解のある経営層のサポートを受けながら着実に進めていきたいと思います。
記事公開日: 2023年4月5日