やりたい人がやる「部活制」でスタートし、
目の前の非効率な業務を改善しながら全社に浸透。
インターネット黎明期から「正しいインターネット」の提供を継続し続ける、東証プライム上場企業「未来工業」のグループ会社。全社的な業務改善に携わる管理部の服部さんと営業部の佐藤さんのお二人にお話をお聞きしました。
業種:IT/情報処理/ソフトウェア
従業員数:32名 (2023年5月現在)
会社概要:webサイトやメールの土台となるITシステムやアプリケーションといったITインフラのプロフェッショナル。レンタルサーバ、データセンター、電子決済やドメイン等の手続き代行などの事業を行っている。
紙の資料があふれる社内への問題意識。
あらゆる社内の情報がエクセルと紙で管理される状況をkintoneで改善したい。
ー kintoneを利用するきっかけを教えてください。
kintoneを導入する前は、主に紙・エクセル・ワードで社内の情報が管理されていました。ITの会社ですが、社内のやりとりはアナログで典型的な非効率な仕事の進め方をしている会社でした。当然、情報管理が追いつかなくなり、次第にミスやトラブルが増えてきた状況に対して上層部が問題意識を持ちはじめたのがはじまりです。何かいいツールはないかと探しはじめてkintoneの名前が出たのが2018年、検討期間を経て2019年にkintoneが導入されました。
ー 現場からではなく上層部からの出発なんですね。
そうですね。私たちは、最初はkintoneって聞いても「なに?」って感じでした。現場の人の中にも業務改善の必要性を感じていた人もいたかもしれませんが、全体としては「こういうものだ」と効率の悪い仕事を受け入れてしまっている職場だったと思います。
当社には、技術、営業、サポート、管理といった部門があります。当然、部門間で情報のやりとりがあるのですが、各部門それぞれが独自のやり方で進めていて、それらをどこかで誰かが気を利かせてとりまとめてくれているような状態でした。
分かりやすい例を挙げると、営業部では9人の営業マンが各人バラバラのフォーマットで見積書をつくっていました。さらに、記載する内容も統一されておらず、同じサーバーのことを「ホスティング」と書いてみたり、「物理サーバー」と書く人もいれば「製品名」で書く人がいたり…。それらをサポートの人がひとつずつ確認しながら、うまくまとめて帳尻を合わす…みたいなことが行われていたんです。こうした今思えば冗談にしか思えないナゾの業務フローがあらゆるシーンでみられました。
集まれる人が集まり、やりたい人がやる「部活制」でスタート。
ー そのような状況で、どのようにkintoneが使われていったのでしょうか。
当社では通常、何かに取り組む際にはプロジェクト化をして進めていくのですが、kintoneに関しては、集まれる人が集まって、やりたい人がやる「部活制」でスタートしました。全社員にアカウントが発行されたので誰でもkintoneに触れることができましたが、義務ではなく、興味を持って主体的に関わりたい人が取り組むスタイルです。程なくして、部門や役職の垣根をこえた「キントーン愛好会」なるものができました。
佐藤さん:それが2019年の後半ですね。私は愛好会のメンバーではありませんでしたが(笑)
サーバーやインシデントの管理、各種申請書の管理、勤怠関係の手続きなど、紙とOffice系ソフトで管理していた社内の情報をkintone化していきました。改善効果を実感できる人ほど、自然とkintoneに前のめりになっていくので、やりたい人が自由にアプリをつくれる「部活制」は良かったと思います。
お客様のITネットワークを取り扱うという事業の特性上、面倒でも省くことができないチェック作業がたくさんあります。それらを可能な限り簡単かつ確実に行えるよう、仕組みで解決するのにkintoneはピッタリのツールですね。
アイデアがあっても形にできないときに頼れる存在。
kintoneを活用して人員も時間も劇的に効率化。
― サティライズがお手伝いしたカスタマイズについてお聞かせください。
はい。まず導入当初に検索機能について相談をしました。IPアドレスで検索をかけるシーンが多いのですが、kintoneの標準機能で思うような検索結果が出てこなかったのでカスタマイズをお願いしました。
次にお手伝いいただいたのが、「QR連携カスタマイズ」です。事業の特性上、ストックしておく必要がある書類があり、ファイリングして所定の場所に保管しています。定期的にそれらのファイルが正しく保管されているかをチェックする棚卸し作業があり、非常に手間がかかっていました。その作業をQRを読み取るだけでkintoneの管理用アプリに反映させるアイデアが出たのですが、構想はあっても実装が難しかったのでサティライズさんに相談してお願いをしました。
この仕組みによって、複数人で3〜4時間かけていた作業が半分以下の時間でできるようになりミスもなくなりました。とても改善効果が高く、ファイル管理の他にもICカードやキーボックスの管理など、他の用途にも活用できているので重宝しています。
社内システムの一例
書類ファイルの棚卸し作業を激変させた「QR連携カスタマイズ」。
システムの概要
【利用の流れ】
【実際のkintoneアプリ】
業務改善の中心にkintoneがある。
自分たちで業務を改善できるこに気付かせてくれた。
ー 服部さんのkintone好きが伝わってきます。
そうですね。私自身、導入当初は開発側のメンバーではなく、「使って」と言われていた側でした。もともとめんどくさがり屋で日々の業務にも疑問を感じていたのですが、実際にアプリを使ってみたところ、「20項目以上入力していたのが5個くらいで済むじゃん!」と気が付いて、すぐに「kintoneっておもしろい!」となりました。コロナ禍のはじめに1ヵ月ほど在宅の期間があったのですが、その間にkintone没頭できたのも良かったと思います。
ー 佐藤さんはいかがですか。
営業部はもともと自由に仕事をしていたので、正直、管理されて面倒なんじゃないかと思っていました。でも、実際のところ、出勤簿や有休申請もアナログでしたし、もしコロナ前にkintone化していなかったらどうなっていたんだろう…と思います。人間って勝手なもので、以前はアナログな業務が当たり前でしたが、知らないうちにkintoneを使った業務が当たり前になっています。もう元には戻れません、感謝しないといけませんね(笑)
部門ごとの改善が一巡し、全体最適をめざすフェーズへ。
ー 今後のkintone活用について思いはありますか?
はい。各部門が自由にアプリをつくってきて、アプリが乱立した時期もありながら統合・整理しながら部門ごとの改善は一巡したと感じています。これからは全社的な視点から業務改善をして全体最適をめざしていきます。また、業務の効率化だけでなくkintoneでさまざまな会社の情報を整理することで、よりポジティブな効果を生み出していけたらうれしいですね。
記事公開日: 2023年6月20日