パッケージ版サイボウズ Officeから、クラウド版へ移ると決めた。では実際に、何から手をつけて、どれくらいの期間で移行できるのか。ここで手が止まってしまう担当者の方は少なくありません。
安心していただきたいのは、パッケージ版からクラウド版 Officeへの移行は、3つの移行先の中で最も負担が小さいということです。無料のデータ移行ツールを使えば、データも設定もほぼそのまま引き継げます。ただし、事前の確認を怠ると、本番当日にツールが止まったり、社員がログインできなくなったりします。
この記事では、名古屋のサイボウズ オフィシャルパートナーである私たちサティライズが、移行の進め方を実務の順番に沿って整理しました。手順・期間・引き継げるデータ・つまずきやすいポイントの4つを、順に確認していきます。
クラウド移行の全体像|6つのステップ
データ移行ツールを使って自社で移行する場合、作業は次の6つのステップで進みます。流れはサイボウズのクラウド移行の手引書に沿っています。
移行する時期を決め、移行前の確認項目(次の章)をチェックする
移行先となるクラウド版の環境を作る。申込みから30日間は無料で使える
本番と同じ手順で一度移行し、かかる時間と移行後の状態を確かめる
リハーサルと同じ手順で、パッケージ版のデータを移す
新しいログイン方法とURLを社員に伝える
パッケージ版の利用を止め、クラウド版での運用に切り替える
ポイントは、本番の前に必ずリハーサルを1回行うことです。リハーサルで移行にかかる時間が分かれば、本番をいつ実施すればよいかが決まります。試用環境は30日間無料なので、リハーサルにかかる費用は発生しません。
移行前に確認したい6つの項目
データ移行ツールは、条件を満たしていないと途中で止まります。本番で慌てないよう、次の6項目を先に確認してください。

| 確認項目 | 目安・条件 | 満たさない場合 |
|---|---|---|
| サーバーのOS | 自社サーバーで運用していること | レンタル・ホスティングサーバーは自社で移行できないことがある |
| サーバーの空き容量 | データの圧縮・変換に使う空きが必要 | 不要データの削除や容量の確保が必要 |
| Officeのバージョン | 最新版のサイボウズ Office 10 | 古いバージョンは先にバージョンアップする |
| データ容量 | 500GB以下 | ツールが使えない。データの整理かパートナーへの委託 |
| 登録ユーザー数 | 350名以下 | ツールが使えない。サイボウズかパートナーに相談 |
| データの破損 | 破損がないこと | 破損があるとツールが使えない。先に修復する |
※確認方法の詳細は、データ移行ツールのマニュアルにまとまっています。
パッケージ版をレンタルサーバーやホスティングサーバーで動かしている場合、自社でデータ移行ができない可能性があります。まずはサーバー業者に、クラウドへ移行したい旨を相談してください。
あわせて、各ユーザーに一意のログイン名とパスワードが設定されているかも確認しておきます。ログイン名が重複していたり、使えない文字が入っていたりすると、ツールがエラーで止まります。長年運用してきたOfficeほど、退職者のアカウントや古い設定が残っていることがあるため、ここで整理しておきましょう。
移行にかかる期間|作業は1日、準備を含めると1〜2か月
移行ツールを動かす作業そのものは、リハーサル・本番ともに数時間から1日程度が目安です。ただし、データ量によって大きく変わります。
| データ容量 | 移行時間の目安 |
|---|---|
| 約10GB以下 | 数分〜1時間半程度 |
| 約10〜40GB | 約1時間〜6時間超 |
| 約80GB以上 | 約7時間〜30時間超(約480GBで約31時間の実績) |
※クラウド版へのデータ移行時間の目安に掲載された移行実績をもとにまとめました。ネットワーク環境やサーバーの性能によって変わります。
注意したいのが、cybozu.comの定期メンテナンスです。毎月第2日曜日の午前1時〜7時はメンテナンスのため、この時間をまたぐ移行はできません。データ量が多く移行に丸1日以上かかりそうな場合は、メンテナンスを避けて日程を組む必要があります。
では、準備や社内の確認を含めると、全体でどれくらいかかるのか。私たちサティライズの実績を担当者に聞きました。
パッケージ版からクラウド版 Officeへの移行は、お客様の確認期間も入れて1か月から2か月です。
一方で、サイボウズが2021年に実施したアンケートの結果も見ておきましょう。データ移行ツールで移行した企業の約半数が、検討を始めてから完了までに半年ほどかかっていました。作業自体は短くても、移行先の決定や社内調整に時間がかかるということです。サポート終了日から逆算した計画の立て方は、パッケージ版サイボウズ Officeのサポート終了はいつ?で紹介しています。
引き継げるデータ・引き継げないもの
パッケージ版からクラウド版 Officeへの移行では、移行できない機能やデータは基本的にありません。スケジュール、掲示板、ワークフロー、カスタムアプリなど、使ってきたデータはそのまま引き継げます。例外は、個別のカスタマイズで作った他システムとの連携などです。
そのうえで、移行の前に知っておきたい注意点があります。
① 移行先のデータは上書きされる
移行元のパッケージ版のデータが、移行先のクラウド版のデータを上書きします。試用中に入力したデータは、上書きされる前提で考えてください。
② クラウド版からパッケージ版には戻せない
移行後に元へ戻すことはできません。パッケージ版のバックアップは必ず取っておきます。
③ 移行中はパッケージ版を使えない
ツールの実行中はパッケージ版がメンテナンスモードになり、社員はアクセスできません。
④ OfficeとGaroonのデータは同時に移行できない
両方をクラウドへ移す場合は、順番に移行する計画が必要です。
カスタムアプリを引き続き使う場合は、クラウド版でプレミアムコースを契約してください。スタンダードコースとの違いは、カスタムアプリ機能があるかどうかだけです。また、メールのデータはアップロードするかどうかを選べます。メールを移さない場合は、アップロードするデータ量を減らせます。
つまずきやすい3つのポイント
Office同士の移行なので、機能面で困ることはほとんどありません。担当者に聞いても、答えははっきりしていました。
Office同士なので、大きな違いは少なく、ほとんど問題はありません。
大きな違いになりうるのはログイン方法なので、事前にお客様へ説明しておきます。
セキュリティ面でご相談を受けるケースもあります。
この声をもとに、実務でつまずきやすいポイントを3つに絞りました。
1. ログイン方法とパスワードが変わる
クラウド版のURLは「https://(サブドメイン名).cybozu.com/」になり、ログイン画面も変わります。さらに、移行後の初回アクセス時には、すべてのユーザーがパスワードポリシーに合わせてパスワードを再設定する必要があります。
切り替え当日に「ログインできない」という問い合わせが集中しないよう、新しいURLとログイン手順を事前に社員へ案内しておくことが重要です。パスワードを忘れた社員が出た場合は、管理者がパスワードを再設定して連絡します。
2. データ容量・ユーザー数の上限に引っかかる
データが500GBを超える、またはユーザーが350名を超えると、移行ツールそのものが使えません。添付ファイルが長年たまった会社ほど、容量の確認は早めに行ってください。メールデータを移さない、不要なファイルを削除する、といった方法で条件内に収められることもあります。
3. 社外からのアクセスとセキュリティ
クラウド版は、インターネットにつながれば社外からも使えます。便利になる一方で、アクセスの範囲をどう制限するかを決めておく必要があります。クラウド版では、アクセスできるIPアドレスを制限する設定を追加費用なしで使えます。クライアント証明書を入れた端末だけに限定したい場合は、有料オプションのセキュアアクセス(1ユーザー月額250円・税抜)も選べます。
クラウド移行にかかる費用
費用は、移行作業そのものと、移行後の利用料の2つに分けて考えます。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| データ移行ツール | 無料 |
| クラウド版の試用 | 申込みから30日間無料 |
| クラウド版の利用料(税抜) | スタンダード1ユーザー月額600円、プレミアム1ユーザー月額1,000円 |
| 移行作業をパートナーに委託する場合 | 支援会社ごとに異なる(サティライズは70万円〜) |
利用料の詳細はクラウド版の料金ページで確認できます。初期費用はかかりません。サーバーの保守やバージョンアップの手間がなくなる分、運用の負担は軽くなります。
自社で移行するか、パートナーに任せるか
条件を満たしていれば、データ移行ツールを使って自社で移行できます。一方、次のような場合は、パートナーに相談したほうが確実です。
- データ容量が500GBを超える、またはユーザー数が350名を超える
- レンタルサーバーやホスティングサーバーで運用している
- メールワイズやGaroonなど、複数の製品をまとめてクラウド化したい
- 社内にIT担当がおらず、リハーサルや社員への案内まで手が回らない
複数製品をまとめて移した事例を紹介します。
規模:サイボウズ Office 70ユーザー、メールワイズ 5ユーザー
移行:パッケージ版 → クラウド版(cybozu.com)
課題:当初依頼した業者では専門性が足りず、クラウド移行が進まなかった
対応:複数製品の統合クラウド化、ログインの統一、他社インフラ業者との連携調整、移行後の運用サポート
期間:約4か月
▶ 事例の詳細を見る
移行先そのものを迷っている場合は、サイボウズ Office パッケージ版の移行先を比較もあわせてご覧ください。
よくある質問
- データ移行ツールはいつまで使えますか?
Windows版のデータ移行ツールは、2027年12月31日まで使えます。Linux版は2024年6月30日で提供を終えています。ただし、パッケージ版のライセンス有効期限が切れると一部のデータを扱えなくなるため、有効期限内に移行を終えておくことが重要です。
- 移行中、社員はサイボウズ Officeを使えますか?
ツールの実行中はパッケージ版がメンテナンスモードになるため使えません。リハーサルで所要時間を測り、週末など業務への影響が小さい時間帯に本番を行ってください。
- クラウド版を試用中に入力したデータはどうなりますか?
データ移行では、移行元のパッケージ版のデータがクラウド版のデータを上書きします。試用中に入力したデータは上書きされる前提で、試用環境はリハーサルと動作確認の場と考えてください。
- パスワードはそのまま使えますか?
移行後の初回アクセス時に、すべてのユーザーがパスワードポリシーに合わせてパスワードを再設定する必要があります。新しいURLとあわせて、事前に社員へ案内しておいてください。
- 自社で移行するのが不安な場合はどうすればよいですか?
サティライズのOffice10 クラウド移行サービスでは、リハーサルから本番、移行後の利用確認まで支援しています。相談と見積もりは無料です。
まとめ|リハーサルとログインの案内が成功のカギ
パッケージ版からクラウド版 Officeへの移行は、無料の移行ツールでデータも設定もほぼそのまま引き継げます。作業は1日程度、準備や社内確認を含めても1〜2か月が目安です。
つまずきやすいのは、容量・ユーザー数の上限、ログインとパスワードの変更、社外アクセスの制限の3点です。事前の6項目チェックとリハーサルを済ませ、社員への案内まで準備しておけば、切り替えは落ち着いて迎えられます。
自社で進めるか迷ったら、サティライズにご相談ください。オンラインで全国対応しており、相談・見積もりは無料です。

